研究成果の概要 |
本研究では, CPUの機械語からハードウェアを合成するバイナリ合成技術の適用範囲の拡大を目的に次の(1)~(3)を行った. (1)本体プログラムと割り込みハンドラを独立したハードウェアに合成する方式を確立するとともに,μITRONを利用した制御プログラムを自動ハードウェア化する手法, および関数型分散処理記述言語 Erlang による動作記述からハードウェアを合成する手法を開発した. (2)バイナリ合成における動的スケジューリングを複数の基本ブロックに拡張する手法を開発した. (3)大規模制御構造をバイナリ合成するために, 整数線型計画法を部分的に適用するバインディング手法を開発した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
割り込み処理を含むプログラムをそのままハードウェア化するバイナリ合成の研究はこれまでになく, これが本研究の独創性の一つである. 本技術により, 組込みシステム中のコントローラをハードウェアに置き換えて, 処理速度・応答時間の向上と回路規模・消費電力の削減が図れる. 分散制御による動的制御を大規模な回路の合成に適用した事例はまだなく, 本研究の手法はバイナリ合成により生成される回路の性能向上に有効な技術と考える. バイナリ合成によるソフトウェア資産のハードウェア化は, 設計効率や性能の改善のみならず, コードの盗用や改ざんの防御や, 生産中止CPUの置き換えによる製品の継続にも役立つと考える.
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