研究課題
高齢者施設の選択の問題に関する評価項目は、複雑に入り込んだ多義に渡る内容であることが判明した。この問題に対して果たして数理的なモデルを駆使してどこまでできるかが今年度の最大の課題として取り組んできた。研究を進めていく過程で、いろいろな課題が見えてきた。それは、人は「もの」や「サービス」を選ぶという意思決定を常に行っているときは、複数の代替案から自分にとって最も良いと思われるものを選んでいるということである。しかし、そのとき選んだものが果たして最も良いものかはその時点では分からない場合が多くあることが分かった。それは人の意思決定には多属性の要素が錯綜しているからである。人がなんらかの対象に対して評価を行う場合は、複数の評価項目が考慮されているが、その評価は加法的ではない。簡単な場合で言えば、例えば、いま評価項目としてAとBがあるとすれば、全体の評価項目をCとすると、それぞれの評価値をg[A]、g[B]、g[C]としたとき、g[C]=g[A]+g[B]が成り立つ場合はきわめて少ないことが分かった。その最大の要因は、数理的に捉えることが難しい「人の心」の内面の評価の存在の重要性に目を向けなければならないことが分かった。特に、高齢者施設の選択は、個人の主観的な評価が大きく影響するので、その数理モデルを構築する場合は、人の感性評価をどのようにして組み込んだら良いのか、という問題が大きな課題となる。今年度の重要な目標の1つに、複数の評価項目間の関係の度合、つまり「ファジィ測度」を評価するときに、いわゆる「λ-ファジィ測度」のλの値が高齢者施設を選択するときに、どのように影響しているのかについて新たな課題として浮かび上がってきた。さらに、現実的な問題として、あらたに分かったことは、高齢者施設に入居するときの意思決定の要因に、家族の世間に対するためらいの気持ちが大きく影響している点である。
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日本感性工学会論文誌
巻: 17 ページ: 347,355
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International Symposium on Affective Science and Engineering
巻: ISASE2018 B4-1 ページ: 1,6
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