人間のバランス能力は,視覚,体性感覚,前庭感覚の感覚統合に基づいている.本研究の目的は,人工物の移動手段を利用した他動的移動運動という条件の下,感覚量を効果的に表現する方法を見出し,動的バランス能力について考察した.視覚に基づく主観的な視線の高さは,多項式モデルで表せることを見出した.また,視覚,体性,前庭感覚に基づく主観的な移動感覚も物理速度の3次多項式でモデル化できることが分かった.そして,着座した状態での他動運動における身体動作モデルは,おおよそ2次遅れ系で表わすことができ,立乗り型の他動運動の発進時における人の動的バランス能力は,静的なバランス能力と相関があることが分かった.
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