本研究では長期に環境中・生体中に残留する有機フッ素化合物について、ヒト血清中濃度の経年変化、ヒト小腸上皮細胞モデルの細胞内への取り込み機構、大型海洋哺乳類(鯨類)の組織別蓄積傾向、食用魚類の地域別蓄積傾向を明らかにした。環境中の微量化学物質を、ヒト体内負荷量・環境動態の双方から評価することは、環境中の存在量の変動とヒトへの影響の関連性を評価する上で重要である。結果として有機フッ素化合物は日本近海の魚類に多くの蓄積が見られた。日本は海産物の消費量が多いことから、環境保全のみならず、食の安全の観点からも継続的なモニタリングが求められる。
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