研究課題/領域番号 |
16K00622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境リスク制御・評価
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
坂田 昌弘 静岡県立大学, 食品栄養環境科学研究院, 教授 (20371354)
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研究協力者 |
丸本 幸治
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中国大陸 / 越境汚染 / 亜鉛 / 亜鉛同位体比 / 宍道湖 / 堆積物コア |
研究成果の概要 |
西日本の日本海側に位置する宍道湖では、堆積物表層部(1980年以降)にZn濃度の上昇トレンドが観測される。堆積物コアのZn濃度とδ66Znから推定された人為起源Znのδ66Zn値は、+0.13‰であった。この値は、中国大陸からの越境輸送の影響を強く受ける長崎県平戸市で捕集されたエアロゾルのδ66Zn(-0.11 ± 0.065‰)とは大きく異なっており、都市内で発生する排水のδ66Zn値(約+0.1‰) に類似していた。このことから、宍道湖における堆積物表層部の人為起源Znは、主として下水処理水等の排水を発生源としており、中国大陸からの越境輸送の寄与は小さいと評価された。
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自由記述の分野 |
環境化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
わが国の多くの水域では、依然として亜鉛の汚染が顕在化している。本研究では、宍道湖の堆積物コアの亜鉛同位体比を測定することにより、その原因が中国大陸からの越境汚染ではなく、主として下水処理水等の流入によるローカルな汚染によることが示唆された。この成果は、亜鉛によるヒトの健康や生態系への影響を評価し、効率的なリスク低減を図る上で有益である。また、大気への亜鉛の排出量が地球規模で増加していることが指摘されており、その寄与を国際的に評価することは重要である。本研究で示された堆積物コアの亜鉛同位体比を測定して発生源寄与率を推定する方法は有効であり、同種の研究が国際的に活発化することが期待される。
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