攪乱から残存した樹木群集の種組成は,攪乱前の履歴や攪乱後に加入した樹木の特性,攪乱の性質に影響される.本研究では津波から残存した森林パッチの樹木の種組成と,津波後に加入した実生の種組成,森林パッチの分布を景観スケールで明らかにした. 仙台市の津波浸水域で確認された樹木は88種であり,クロマツの出現頻度が最も高かった.森林パッチ(n = 202)はクロマツ指標種タイプ,ケヤキ指標種タイプ,シロダモ指標種タイプに区分された.津波後に加入した実生はクロマツ指標種タイプで最も多く,調査地外から加入した実生も一部で確認された.津波後に森林パッチ間の種子散布が景観スケールで生じていることが示唆された.
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