研究課題/領域番号 |
16K00685
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
島本 美保子 法政大学, 社会学部, 教授 (70245629)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レント / 財務データ / 企業 / 政治経済学 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
地球環境の持続可能性が問われているが、経済のグローバル化の中で資源の過剰なまた不適切な使用について国際的なコントロールの必要が叫ばれながらなかなか実現に至らない。環境経済学はそれを主に市場経済における資源配分の面から分析してきたが、市場の失敗の是正を政府に求めても、政治過程を適正化しなければ政府が適正な政策を行えない。特に短期的直接的利益を求めて活発に政治的働きかけを行っている経済団体や企業の政治力、特に資金の流れを明らかにしコントロールする必要がある。 そこで企業の政治過程の原資として企業単位のレントのスタンダードな推定方法の開発を目指してきた。独占度や寡占度を推定できれば、独占レントを量的に算出することが可能である。個別企業レベルでのレントの推定では製品や生産要素の量に関するデータの入手は極めて困難である。財務データはすべて金額ベースなので、従来のように行動利潤関数として線形回帰に適した一般レオンチェフ型費用関数やトランスログ型の利潤関数を使うのではなく、Cobb-Dauglas型生産関数をベースにさまざまな仮定をおくことで行動利潤関数の動学的最適化条件を額ベースのデータのみ投入すれば解けるような形に設定した。これを日本の大企業26産業について行った成果を英文ジャーナルに投稿中である。他方でこの方法の弱点である虚数解の処理については、動態的なデータを実数解に収まるようスムージングする修正アルゴリズムを開発するなどの方法について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
英文ジャーナルの査読結果が1年以上返ってこなかったことで成果を形にすることが遅れている。これとも関係すると考えられるが、この研究がどのような分野に属する研究なのかという位置づけが難しく、さまざまな研究上の情報のインプットを行う生産性がなかなか上がらないことが大きな要因であろうと考えている。具体的には、研究過程の初期は産業組織論的な方法論をレビューし、この研究をその応用研究と位置付けていた。しかし探求していく中で、方法論的にはエコノメトリックス的な手法から数理計画系の手法へとシフトせざるを得ず、またデータも財務データを扱う関係上、経済学よりビジネス系の研究に近い可能性も出てきており、探索中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は1年間の研究休暇を取得したので、研究時間が飛躍的に増加することが見込まれる。研究のスピードアップを図りたい。IO研究者のアドバイスでビジネス系の研究系列もあることが判明したので、ややレビュー範囲を広げ、よりこれまでの先行業績を参考にして、回り道を少なくし、研究の効率化を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
より複雑なアルゴリズムに対応できるように、これまで使用していたフリーソフトからMATLABに乗り換える予定で予算を組んでいたが、大学のほうで無償提供されていることが判明し、その分の予算が節約できたため。また論文の校閲などの予算を執行する必要がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
遅延している英文論文の活字化のために校閲の予算を使いたい。また今年度研究休暇を取得できたため、研究をスピードアップし、データ収集などにもより多くの予算を使っていきたい。
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