研究課題/領域番号 |
16K00688
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
的場 信敬 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (10532616)
|
研究分担者 |
平岡 俊一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70567990)
井上 芳恵 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (20342412)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 再生可能エネルギー / 社会的基盤 / エネルギー政策 / 地域の持続可能性 / 地域ガバナンス |
研究実績の概要 |
研究初年度は、地域再生可能エネルギー事業を支える社会的基盤のうち、特に支援制度(自治体の条例・計画や市民向けサポート、中間支援組織、事業推進組織など)の現状や課題について、事例調査を中心に情報収集に努めた。研究実施計画では国内外の自治体・組織を訪問対象としているが、他の研究資金との調整により、本研究資金については主に国外調査の費用に充てた。 調査では、オーストリア中西部、イタリア北部、ドイツ北部の自治体、エネルギー公社、中間支援組織などを訪問し、各地域の再生可能エネルギー実装を含むエネルギー政策がどのような形で機能しているかについて調査を行なった。日本との最も大きな違いは、エネルギー政策が地域運営のメインストリームに位置付けられ、福祉や教育、交通、観光、地場産業などさまざまな地域政策にしっかりと結び付けられて機能している点である。また、地域運営の中心として位置付けるのに必要なさまざまな制度的インフラ(地域のエネルギービジョンや中間支援組織、自治体のクオリティ・マネジメント・システムなど)が多彩に準備されている点も、欧州各国にエネルギー関連の先進地が多い要因となっている。 以上のような知見を、エネルギー政策を支える社会的基盤としてまとめて議論することは、日本の今後のエネルギー政策や地域の持続可能性を検討する上で一定の貢献になると考える。今年度の研究成果については、日本環境学会誌「人間と環境」において「欧州再生可能エネルギー事情調査報告」という特集記事として掲載されるほか、2017年度の日本環境学会研究発表会においても研究報告を行うことになっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果は、3つ設定した研究課題のうちの2つ「地域再エネ事業を支える地域人材・組織像と育成方策の検討」および「地域再エネ事業を支える支援制度の検討」に主に該当するものである。未だ情報は十分でないため、来年度も引き続き国外調査を行う予定にしているが、今年度までの調査により、組織体制や支援制度などの社会的基盤のどこにフォーカスをあてるべきか、についてはだいぶ議論が進んできた。 一方で、もうひとつの研究課題「地域再エネ事業を資金面で支える「ソーシャル・ファイナンス」の検討」については、初年度はほとんど実質的な研究活動は行えなかったので、2年目以降の課題となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
上述の通り、2年目は研究課題「地域再エネ事業を資金面で支える「ソーシャル・ファイナンス」の検討」についても研究を進める必要がある。研究実施計画では、英国を調査先として設定しており、大陸欧州の調査と合わせてこれから内容を検討する。また、国内でもソーシャル・ファイナンスで新しい試みを行なっているところが(研究実施計画で設定した訪問地以外にも)出始めているため、積極的に情報を収集する。 また、研究プロセスの中で、他の研究グループと共同で欧州調査を行う機会があり、これがオーストリアのエネルギー政策についての共同研究へと発展しつつある。このように、本研究課題を発展させる研究連携の機会についても、今後積極的に追求していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた旅費および人件費・謝金について、他研究費との調整で少し本研究費側に余裕が出来たため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、他の研究費の1つが終了するため、今年度のような余裕は生じない。ただ、研究プロセスの中で、研究活動が当初より発展しているため、詳細な計画を立てつつ予算執行にあたる。
|