研究課題/領域番号 |
16K00759
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
三好 弥生 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (60388072)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 看取り期 / 介護職 / 食事ケア / 食事困難 |
研究実績の概要 |
平成29年度の予定は、食事ケアに熟練した技術をもつ介護職員へのインタビュー並びに食事介助場面の観察調査を実施すること、加えてそこで得られたデータを、介護職の「技術的側面」と「概念的側面」から分析すること等であった。 実際には、前年度に実施した予備調査の結果から、観察調査には摂食嚥下障害の専門的な視点の必要性が認められたため、まず調査に研究協力者の言語聴覚士を同行して食事摂取困難者数名の食事介助場面の観察を実施した。その際、摂食嚥下5期モデルやKTバランスチャート等既存の知見や評価項目を参考にした。この調査により、重度要介護者の食事困難には、その特徴からいくつかのタイプがあることが推察された。そこで、高齢者の看取り期食事ケアモデル構築に向け、終末期における食事困難事例を類型化することに課題を修正することとした。 その後の調査においては、まず食事摂取にあたり具体的にどのような難しさがあるのかに焦点をあて、観察とヒヤリングを実施し、先行研究を参考に、その特徴を比較しながら分類を進めた。その結果、終末期における食事困難事例は、①経過、②体力、③ADL、④意思、⑤食欲、⑥食事認知、⑦捕食、⑧咀嚼、⑨送り込み、⑩嚥下の10項目より、「原因不明の急な食欲不振型」、「認知機能低下による摂食困難型」、「覚醒不良による摂食困難型」、「筋緊張による開口困難型」、「脳卒中による摂食嚥下困難型」、「意思疎通困難かつ摂食嚥下困難複合型」等に類型化されることが示唆された。また、この成果は平成30年2月、学会で発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査・分析を進めていく過程で、終末期における食事困難にはいくつかのタイプが認められることが推察され、高齢者の看取り期食事ケアモデル構築に向けて、まずは終末期における食事困難事例を類型化することが先決であると考え、課題を修正した。それ故、平成29年度に予定していたインタビュー調査や分析、文献によるフレイル概念の整理等が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、終末期における食事困難事例の類型化の妥当性を検討しつつ、食事ケアに熟練した技術をもつ介護職員へのインタビュー調査を実施し、食事ケアの技術的側面の抽出を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
終末期における食事困難事例を類型化することに課題を修正し、平成29年度に予定していたインタビュー調査や分析が遅延したため、調査・分析に掛かる費用の支出が少なかった。 平成30年度は、インタビュー調査や分析に関わる費用や成果の公表に関わる経費を支出する予定である。
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