研究課題/領域番号 |
16K00834
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
木村 万里子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (00351932)
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研究分担者 |
山下 弘高 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (40453055)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オリゴ糖 / プレバイオティック / 免疫調節 / ラフィノース族 / N-グリカン |
研究実績の概要 |
いんげん豆(手亡と金時豆)及び小豆から,遊離型オリゴ糖を抽出・分画した。すなわち,乾燥豆の脱脂粉末をペプシンで消化後,50%エタノール水溶液でオリゴ糖を溶出させ,陽イオン・陰イオン交換,2種類のゲルろ過(Sephadex G-25, Biogel P-2)により各オリゴ糖画分を分離した。その結果,手亡からは6.7%,小豆からは4.4%のオリゴ糖画分(中性糖,酸性糖)が得られた(2種ずつ計4種類)。金時豆のオリゴ糖画分については,精製の途中であり,まだ収量が出ていない。 手亡と小豆4種類の糖画分を,HPLCにより糖組成分析した結果,共通の主要構成糖として,ガラクトース,マンノース,グルコースが検出された。また,少量成分として,手亡(中性糖と酸性糖画分)にNーアセチルーDーグルコサミン(GlcNAc)が,小豆中性糖画分にはフコースが認められた。 各オリゴ糖のプレバイオティック活性を3種類の菌(Bifidobacterium longum JCM 1217,Lactococcus lactis NBRC 12007,Lactobacillus plantarum NBRC 3070)を用いて調べた。その結果,すべてのオリゴ糖において,既知のプレバイオティクス(ラクツロースやラフィノース)と同程度の活性が認められた。特に,GlcNAcが検出された手亡オリゴ糖は,高いL.plantarum増殖促進活性を示した。以上の結果から,手亡や小豆に含まれるオリゴ糖は,有用なプレバイオティクスになる可能性が示唆された。 手亡と小豆から調製した各オリゴ糖画分を,オボアルブミン(OVA)誘発食物アレルギーモデルマウス(BALB/c雌性)に経口投与(100 mg/kg,27日間)し,体温,下痢誘発,血清中OVA特異的IgEの変化を調べた。その結果,手亡オリゴ糖投与群に,下痢の誘発を抑制する傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題は,1.数種のいんげん豆に含まれる遊離型オリゴ糖の精製および化学構造解析,2.いんげん豆由来オリゴ糖のビフィズス菌・乳酸菌増殖促進活性の測定(in vitroアッセイ系),3.いんげん豆由来オリゴ糖の免疫調節活性(in vivoアッセイ系)の3つのテーマから構成されている。3.の実験系において,多量のオリゴ糖画分が必要であるため,1.のオリゴ糖精製に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
現在,オリゴ糖の精製法と免疫調節活性の実験系については,再検討を行っている。 また,金時豆の精製を進めると同時に,調製した各オリゴ糖画分の詳細な化学構造解析も進めているところである。ラフィノース族オリゴ糖は液体クロマトグラフ質量分析装置による構造解析を,少量含まれていると考えられるN-グリカンの構造解析は,2-アミノピリジンにより化学的に標識した後,質量分析(ESI-MS),糖鎖マッピング法(順相HPLCと逆相HPLC),グリコシダーゼ消化法を組み合わせることにより行っている。 本課題は,系統的かつ持続的な解析が要求される内容であるため,平成29年度も,数種の豆について,継続して上述1.~3.の実験を行う。L.plantarum増殖促進活性が認められた手亡のオリゴ糖画分については,さらに段階的に精製を進め,活性測定と化学構造解析を繰り返し行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り,実験が少し遅れているため。平成29年度に予定しているオリゴ糖構造解析のための試薬を購入する。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に予定しているオリゴ糖構造解析のための試薬購入に充てる。
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