研究課題/領域番号 |
16K00927
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
岸本 満 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (20454449)
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研究分担者 |
伊藤 智 神戸学院大学, 栄養学部, 助教 (30594428)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カンピロバクター / リアルタイムPCR / モデル実験 / 二次汚染 / リスクアセスメント / 定量法 |
研究実績の概要 |
本研究はCampylobacterの消長(伝播・生残等)をモデル実験で明らかにし、リスク要因の分析を行い、リスクマネジメントに資するデータを提供することを目的としている。2017年度は本研究室で開発したG-RtPCR法を用いて二次および三次汚染伝播率を明らかにし、本定量法が微生物学的リスク評価に資するデータ収集に有用であることを示した。この成果を受け、2018年度は市販鶏肉ドリップシートを介したカンピロバクター食中毒のリスク評価を実施、ドリップシート中及び鶏肉中のCampylobacterの生残数を計測しその分布を比較した。さらに外気温と鶏肉中のカンピロバクターの生残数の関連を調査した。その結果、Campylobacterは、ドリップシートの53%から検出、検出率は鶏肉の約3倍だった。増菌培養するとドリップシートの81%から検出されこれは鶏肉の約1.3倍だった。ドリップシートから高確率で検出されたことから汚染実態調査にはドリップシートの検査が有用であると考えられた。 また、外気温が15℃以下の時、ドリップシートのカンピロバクター検出率は43%、15℃以上の時56%で、外気温が高いと検出率が高くなる傾向がみられた。春から夏にかけて食中毒事件数が上昇する傾向と検出率の上昇は重なる。これらの成果は「ドリップシートを用いた市販鶏肉のカンピロバクター検出」として第39回日本食品微生物学会学術総会で口頭発表した。 また、殺菌剤が食中毒リスク低減に寄与する可能性を明らかにするため、モデル実験をデザインし、過酢酸製剤に鶏肉を浸漬ないし噴霧した時の殺菌効果を検証した。この成果は第45回日本防菌防黴学会年次大会で「過酢酸製剤におけるカンピロバクター属への殺菌効果の比較」として口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は、モデル実験で得られた Campylobacter の消長データの補完、すなわち二次汚染や菌数変化が発生するメカニズムの再現と確認を行うとともに、二次汚染等による菌の消長モデル実験結果の妥当性、再現性を確認、さらに健康影響評価につなげるため、伝播率や菌数変化に及ぼす要因の特性、影響を数値データ化し、データベースを構築して 消長や二次汚染要因の特性について解析する予定だったが、大学院修士学生が確保できず、学部学生が引き継いだが計画通り研究が進展しなかった。加えて、研究代表者の大学運営業務が多忙となり、かつ2017~2018年に病気治療で2度手術、入院を繰り返したこともあり、当初計画が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者が大学院博士後期課程3年生に進学、2019年度に大学院博士前期課程に終始1年生が進学、学部4年生3名を本研究テーマのチームに加えたので進捗の遅れを取り戻していく予定である。2018年度に計画していた、「菌数変化発生メカニズムの解明」に関するモデル実験をG-RtPCR法及び他の定量法を用いてデータ収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、モデル実験で得られた Campylobacter の消長データの補完、すなわち二次汚染や菌数変化が発生するメカニズムの再現と確認を行うとともに、二次汚染等による菌の消長モデル実験結果の妥当性、再現性を確認、さらに健康影響評価につなげるため、伝播率や菌数変化に及ぼす要因の特性、影響を数値データ化し、データベースを構築して 消長や二次汚染要因の特性について解析する予定だったが、大学院修士学生が確保できず、学部学生が引き継いだが計画通り研究が進展しなかった。加えて、研究代表者の大学運営業務が多忙となり、かつ2017~2018年に病気治療で2度手術、入院を繰り返したこともあり、当初計画が遅延した。
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