研究課題/領域番号 |
16K01116
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西野 和典 九州工業大学, 教養教育院, 教授 (70330157)
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研究分担者 |
高橋 参吉 帝塚山学院大学, 人間科学部, 特任教授 (70100766)
大倉 孝昭 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50223772)
浅羽 修丈 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (50458105)
尋木 信一 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00353342)
大西 淑雅 九州工業大学, 学習教育センター, 講師 (50213806)
山口 真之介 九州工業大学, 学習教育センター, 助教 (00380733)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情報教育 / 高等学校情報科 / eラーニング / 教材開発 / 授業評価 / 次期教育課程 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、本科研の目標である(1)情報科教員研修用のeラーニング教材の開発、(2)授業改善のための授業評価システムの開発、(3)次期教育課程に対応する情報科の教材の開発に関して、以下に示す成果を上げることができた。 (1)情報科教員研修用eラーニング教材の開発に関しては、開発済みのeラーニング教材(プログラミング 、計算機システム、情報ネットワーク、情報倫理等)を、新しい情報科の教育課程の観点から教材の内容を検討し、改訂の必要性の高いeラーニング教材から、授業を新しく撮影するなど改訂の作業に入った。また、情報社会や情報倫理に関連するeラーニング教材の開発にも着手した。次期教育課程で重視される情報科の学習内容、特にプログラミングの授業内容を撮影・編集してeラーニング教材の開発を行った。さらに、情報科教員に公開するための準備段階として、九州工業大学で実施している高等学校情報科の追加免許取得のための免許法認定公開講座で公開する準備を行った。 (2)授業評価システムを用いた情報科教員の授業評価・改善に関しては、開発済の授業の映像に授業のコメントを記述して評価する授業評価システムに、新たに、授業者の授業ビデオを視聴しながら授業目的などの情報提示による授業評価や授業リフレクションを促進する機能と、特定のOSやソフトウェアに依存しないWeb環境で、グループでリアルタイムに相互評価を行う機能を追加し、教職課程の授業で試用した。 (3)高校新教育課程での情報科教育用教材に関しては、特に次期学習指導要領で重視されるプログラミングの教育方法について、ProcessingやScratchを用いたプログラミング教材を開発し、教員免許状更新講習にてその教材を用いてプログラミング教育の指導力向上を目的とした科目を実施し、研究会で発表した。また、現行の情報科で使用する4種類の教科書を改訂して出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた平成28年度の研究計画では、(1)情報科教員研修用のeラーニング教材の開発では、開発済みのeラーニング教材を新しい情報科の教育課程の観点で総点検して改訂すること、さらに次期教育課程で重視される情報科の学習内容(情報の科学的理解)に対応する講義を撮影し、授業コンテンツを作成することを目標に掲げていた。これらについては、ほぼ目標を達成できている。なお、「情報社会」に関連するeラーニング教材の開発も予定どおり着手できている。 (2)授業改善のための授業評価システムの開発では、当初、開発済の授業の映像と授業のコメントを記述して授業評価システムに、1)授業者の授業ビデオを視聴しながら授業目的などの情報提示による授業評価や授業リフレクション促進支援システム、および、2)授業動画から半自動的に授業のカテゴリー分析を行うことができる機能の追加を目標に掲げていた。1)については目標をほぼ達成した。2)については平成28年度の当初にほぼ開発が完了した。さらに、1)を特定のOSやソフトウェアに依存しないWeb環境で機能するシステムに改訂して、教職課程の授業で試用した。 (3)次期教育課程に対応する情報科の教材の開発では、当初、現教育課程での情報科の学習内容に沿って授業用教材を開発することを目標に掲げていた。実際には、文部科学省から情報科の次期教育課程の学習内容の概要が発表されたため、それに従って、新しく重視される学習内容であるプログラミングについて、ProcessingやScratchを用いたプログラミング教材を開発し、教員免許状更新講習にてその教材を用いてプログラミング教育の指導力向上を目的とした科目を実施した。また、現行の情報科で用いる教科書も改訂した。 以上のように、平成28年度当初に予定した3つの目標をほぼ達成していることから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度の研究を継続的に発展させる。(1)情報科教員の研修用eラーニング教材の開発に関しては、平成28年度に改訂した研修用eラーニング教材を、情報科教育の専門家や高等学校の情報科教員の協力を得て、開発した教材の視聴と評価を依頼し、評価に従ってeラーニング教材の改善を行う。改善後の研修用教材は、インターネットに公開して希望者が視聴できるようにする。 (2)授業評価システムを用いた情報科教員の授業評価・改善に関しては、平成28年度に開発した授業評価システムを、大学の教職課程(高等学校情報科免許取得コース)の情報科教育法の授業で実施する模擬授業において、本格的に活用するとともに、模擬授業の相互評価、および評価結果を受けて行う授業改善を通じて、授業評価システムの機能を評価し、必要に応じて改善を行う。 (3)高校新教育課程での情報科教育用教材の開発に関しては、新高等学校学習指導要領の公示が平成29年度に予定されており、情報科の新科目の内容に沿った新しい学習教材の作成に着手する。開発した教材は、情報科のベテラン教員に利用してもらい評価・改善するとともに、大学の情報科教員養成の授業、現職の情報科教員の研修で利用できるように、教材の利用解説書を作成して公開する。得られた成果は、日本情報科教育学会、日本教育工学会、教育システム情報学会等の関連する学会で発表し、国内・国外の情報科教育に関する情報を収集し研究に応用する。 平成30年度は、平成29年度での(1)~(3)の進捗を見たうえで、H29年度に開発したeラーニング教材や授業評価システム、さらに新しい情報科の内容に準拠した教員研修用教材を改訂するとともに、関係する学会の研究会や教育機関を通じて研究成果を周知し、高等学校現場の教員が利用できるよう体制を整えるなど、本研究の成果の普及に努める。
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