研究課題
ネパール・ミッドランド(中山間地域)を流れるスンコシ流域,ボテコシ川流域,トリスリ川流域,マルシャンディ川流域およびセティ・コラ川流域について空中写真判読を行いそれら流域に分布する段丘および地すべり地形判読を行った.さらにスンコシ川流域支流のボテコシ川,インドラワティ川流域についてデジタル入力を行い,GISを用いた地形・地質解析を進めた.その結果,片麻岩地域に於いて地すべり地形が大型化することを明らかにするとともに,特にインドラワティ川流域の北西方向に単斜構造を示す流れ盤斜面に於いて,数十億立方mの移動体をもつヒマラヤ最大級の地すべりが発生していることも明らかにした.その形成年代も宇宙線生成核種蓄積年代測定から明らかにし8000年前頃であることを明らかにした.各地域に共通して発達する最高位の河成段丘の離水年代がOSL年代測定から2-3 万年であること,さらにマルシャンディ川流域では土石流性の中位段丘が宇宙線生成核種蓄積年代測定(10BE)から4 千年頃に発達したことを明らかにした.高位面もその中部には厚さ数十m の土石流堆積物を挟むことから,本地域においては最終氷期後半から完新世に少なくとも2 回の谷の掘り込みと,土石流による急速な埋積が繰り返されてきたことを明らかにした.また新旧の土石流は,ヒマラヤ片麻岩の巨礫を挟み大ヒマラヤの山麓線から30-40km 下流側まで発達している.また最高位段丘は河谷を覆い尽くすように発達することから,莫大な量の土砂が大ヒマラヤ側から中山間地の河谷に一気にもたらされたものであることが明らかになった.その結果,本調査地域における下刻・浸食速度は6-12mm/yr程度に及び,日本におけるそれに較べ最大10倍以上であることを明らかにした.
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Geophysical Research Letters
巻: 46 ページ: 3202,3215
https://doi.org/10.1029/ 2018GL081197
Journal of Nepal Geological Society
巻: 55 ページ: 61,67
巻: 55 ページ: 69,75