ヒトB型肝炎ウイルス表面抗原L蛋白質が酵母小胞体由来のリポソームに埋め込まれた構造のバイオナノカプセルは、肝細胞へ集積する特性をもつ、有用な薬物キャリアである。本研究では、バイオナノカプセルに抗癌剤誘導体を封入したDDS製剤の開発を行った。タキソールにグリコール酸を介してグルコシドを結合した配糖体誘導体を合成し、更にシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを用いるオリゴサッカライド合成により、タキソールのトリサッカライド誘導体を得た。バイオナノカプセルに、タキソールのトリサッカライド誘導体を封入した、肝癌細胞株に対する高い抗癌活性を持つ肝細胞癌治療用の薬物送達システム製剤の開発に成功した。
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