高齢化社会の進展に伴って近年増加しているがん・動脈硬化性疾患・変性疾患・自己免疫疾患等の原因は炎症といわれており、世界的には、2005 年頃から炎症関連疾患の治療技術開発に向けた研究開発が盛んに行われている。現在、炎症治療に用いられている薬として、分子標的薬などの抗体医薬に期待が高まっており、アルツハイマー病の初期に、炎症に関与する抗体を投与することで症状が緩和し、認知課題において記憶が改善することが報告されている。しかし、抗体医薬は非常に高価であり、低分子薬の数倍から数十倍もする薬価がその普及を妨げている。こうした背景のもと新たな炎症治療用材料の設計の学術的・社会的意義は非常の大きい。
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