本研究では、「ナノマテリアルによるエピジェネティック制御」の観点から、ナノマテリアルの物性-生体影響-エピジェネティック制御の連関解析を試みた。その結果、我々の生活に身近な物に使用されているナノ銀粒子が、ヒト肺胞上皮細胞株に対して、1)DNAメチル化率の低下、ならびに、DNAメチル化酵素であるDnmt1の蛋白質量の低下を誘導し、2)Dnmt1発現量の減少には、ユビキチン化の促進によるプロテアソーム分解が関与していることを明らかとした。今後、エピジェネティック制御を介した生体応答について追究することで、新たなハザードの同定と、その発現機序の解明に貢献できることを期待している。
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