研究課題/領域番号 |
16K01529
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
杉元 雅晴 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (20379457)
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研究分担者 |
松尾 雅文 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (10157266)
植村 弥希子 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 研究員 (10786601)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 直流微弱電流刺激 / 線維芽細胞 / 筋線維芽細胞 / 損傷電流 / 酸化還元電位 |
研究実績の概要 |
コラーゲン線維の合成促進および線維化促進因子産生の至適DF(duty factor:通電率)の検証実験を行った。実験では、HDFsを60mm-dishに600×103 cells/dishで播種し24時間培養した。電気刺激を1時間行い、タンパクおよびmRNAを回収した。電気刺激条件は刺激強度0、200 μA、周波数は2、16、64 Hzとし、2HzでのDFは0、10、50、90%とした。周波数別の実験では、刺激後のα-SMA、collagenⅠ、Ⅲ、GAPDHタンパク発現はWestern blotting法にて測定した。次に、周波数2Hzの条件でDFを変えて電気刺激をし、α-SMA、TGF-β1、GAPDH mRNA発現を遺伝子解析を行った。対照群、刺激群でα-SMA発現を認めたが、周波数による有意差はなかった。collagenⅠ、Ⅲ発現はいずれの群でも確認されなかった。DF別の実験では、対照群および刺激群でα-SMA、TGF-β mRNA発現ともDF 20 %群で幾分上昇し、DF90 %群にむけて減少傾向であったが、有意差はなかった。 損傷電流測定装置の開発研究では、増幅率と精度高めた仕様で機器を製作した。冷却麻酔下でアカハライモリ(6匹)の尾部を切断し、創面を継時的に測定し、精度と安定性の確認実験を行った。損傷部位の電位変化を試作した計測機器にて確認できた。この時、酸化還元電位の発生を制御するために、寒天電極を作製する必要性が確認できた。そこで、汎用化する為には、電導可能なジェルに白金電極を封入する必要があることを確認した。これを、人の褥瘡部で電位変化を測定できれば、適切な補充電流を確認できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
直流パルス微弱電流刺激の刺激時間が短く、十分な刺激量に達しなかったので、培養線維芽細胞に分化が確認できなかった。そこで、電気刺激装置の時間設定機能を解除した装置に改良した。今後、HDFsを60 mm-dish (IWAKI)にcollagen gel上に600×103 cells/dishで播種し、長時間通電下でタイムラプス顕微鏡で培地のcollagenの収縮率を観察する。また、電気刺激2~6h後に24時間培養した線維芽細胞のαSMAの免疫染色でα-SMA発現を確認する計画で実験を継続している。 損傷電位位測定装置の計器の精度とともに、酸化還元電位の発生を抑制機構の設定が必要となることが確認できたので、継続的に使用できる電極の開発、清潔維持を目的とした使い捨て電極の開発に専心している。
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今後の研究の推進方策 |
直流パルス微弱電流刺激装置の通電時間の設定変更を行い、再開することにした。機器の設定条件(刺激幅と通電時間)を24時間まで可能になるように設定できた。 酸化還元電位の発生を抑制機構の設定が必要になることが確認できたので、継続的に使用できる電極の開発、清潔維持を目的とした使い捨て電極として低価格ジェルの検討をしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
直流パルス微弱電流刺激装置による1時間の通電では、線維芽細胞の顕著な反応(細胞分裂・細胞分化)が得られなく、有意差が確認できなかった。その原因の探索に時間を要し、研究に遅れが出てしまった。原因が通電時間であることが確認できたので、研究方針が決まり再開することができ、遅れを取り戻してきている。 今年度から「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」から臨床研究法に基づく「特定臨床研究」での認定臨床審査会の審査を受ける研究になる為、当面、動物による実験研究を重ねることにより、人の褥瘡部の創面電位を測定できる性能まで高めることにした。そこで、酸化還元電位の抑制機構の設定ができる電極の開発を目標に実験を遂行することにした。この点においても、次期の課題が明確になり、遅れを取り戻せる計画を立てることができた。 今年度の臨床研究課題は、既に倫理委員会の承認を得ていますので、「特定臨床研究」の経過措置で、平成31年3月31日までに臨床研究の完了を目標に遂行できるよう鋭意取り組んでいる。
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