研究課題/領域番号 |
16K01583
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
鶴田 和寛 九州産業大学, 工学部, 教授 (60389236)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リハビリ装置 / 脳錯覚 / モーションコントロール / バイラテラル制御 / ハプティクス制御 |
研究実績の概要 |
初年度の計画は、研究交流のある香椎原病院において、実際に利用されているリハビリ装置の特徴及び問題点、患者の要望などを把握し、医師、理学療法士にご協力いただいて本研究課題で提案する新しいリハビリコンセプトのブラシュアップを実施すること、脳に錯覚を起こさせるために必要なモーション制御機能を実現する動作モニタ装置および2軸テーブル駆動装置を開発することであった。この計画に従って以下を実現した。 脳に錯覚を起こさせるために必要なモーション制御機能を実現する動作モニタ装置および2軸テーブル駆動装置の基本機能を開発した。具体的には、2軸独立制御によるスライドシステム駆動、2軸間の力(トルク)を利用したバイラテラル制御、加速度センサ信号を読み込み、両軸にトルク外乱として感覚的に伝えるハプティクス制御、負荷外乱を推定する外乱オブザーバ機能、プログラミングによる動作指令作成機能を、初年度に購入した制御実験装置(AD5436)とMATLAB(数式演算ソフトウエア)を利用して実現した。この装置を昇降運動ができるメカに取り付け、昇降運動時の左右バランス補助、繰り返し昇降動作時における突発的な動作指令変化、振動入力による外部刺激、左右バランスのずれをモニタ表示することによる視覚刺激を実現し、被験者の脳をだます(モニタ上に映し出される予想と違う動きによる)リハビリ制御装置のプロトタイプを開発した。 また、文献調査と並行して、産業技術総合研究所で実施された第1回ニューロリハビリシンポジウムキックオフ2016(ポスタ発表を実施)に参加し、最先端技術の情報収集を実施した。さらに、香椎原病院(リハビリテーション科)の医師、理学療法士に、実際に開発した装置でリハビリ動作(昇降動作+振動刺激)を体験して頂き、本テーマで開発中のリハビリ装置の問題点、今後の開発項目などに対するアドバイスを頂いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は2軸独立制御によるスライドシステム駆動、2軸間の力(トルク)を利用したバイラテラル制御、加速度センサ信号を読み込み、両軸にトルク外乱として感覚的に伝えるハプティクス制御、負荷外乱を推定する外乱オブザーバ機能、プログラミングによる動作指令作成機能を、初年度に購入した制御実験装置(AD5436)とMATLAB(数式演算ソフトウエア)を利用してそれぞれ独立に開発するところまでを予定していたが、学内に昇降運動が可能なメカがあり、少しの変更でモータを取り付けることができ(モータパワーは若干不足)、実際に人間が乗った状態で昇降運動ができるリハビリ制御装置のプロトタイプが製作できたため。
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今後の研究の推進方策 |
ハプティクス・バイラテラル制御を応用展開して脳に錯覚を与える擬似体験手法を提案・改良する。次に、疑似体験手法を実現するハプティクス・バイラテラル制御装置を改良する。さらに、脳に錯覚を起こすことで脳血流にどのような変化があるかを調査し、疑似体験手法による脳機能リハビリテーションの有効性を評価する方法を提案する。具体的には、どのような動作が脳賦活に効果があるのかを評価するためfNIRS(脳血流測定装置)を利用する。しかし、fNIRSによる測定データから脳が活性化した/しなかったという判断は人間ではできない可能性がある。そこで、fNIRSの測定データを利用して、AIによる脳賦活判定を実施する必要があると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した制御コントローラ(AD5436)が研究室で保有しているAD5430の後継機だったため、制御ボードの流用ができ、購入費を抑えられた。 また、本テーマでの国際学会発表を予定していたが、これまでの成果を論文として投稿したIEEE-Cyber2017(2017.7/31-8/4)は次年度に開催されるため、当該年度の旅費は利用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
昇降運動の角度を浅くしたり、両足、両腕の4軸制御による脳錯覚運動を試みるためのアクチュエータを含めたリハビリ制御装置の製作費、脳にどのような刺激があったかどうかを観測するための測定器(センサ)等の購入費として利用する。
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