研究課題/領域番号 |
16K01746
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
大和 洋輔 藍野大学, 公私立大学の部局等, 助手 (10638141)
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研究分担者 |
真田 樹義 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (50421227)
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / ストレッチ運動 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
従来、ストレッチ運動は筋の柔軟性を高め、関節可動域を広げる効果があることから多く導入されている運動様式である。近年では、習慣的なストレッチ運動により動脈硬化度を改善させる効果が報告されており、ストレッチ運動の新たな効果が期待されている。しかしながら、習慣的にストレッチ運動を行なっても動脈硬化度は改善しないといった報告もされており、その効果の是非が課題となっている。そこで本研究では、一過性および習慣的なストレッチ運動が動脈硬化度に及ぼす影響を検討し、そのメカニズムについて検証することにより、多種多様にあるストレッチ運動の中で動脈硬化度に対して効果的なストレッチ運動プログラムの構築を目指すことを目的とする。 平成28年度の研究においては、若年者を対象に全身性の静的ストレッチ運動前、運動直後、15分後、30分後および60分後に、動脈硬化度の指標である脈波伝播速度(全身の動脈硬化度の指標である上腕-足首間脈波伝播速度; baPWV, 中心動脈の動脈硬化度の指標である頸動脈-大腿動脈間脈波伝播速度; cfPWV, 下肢の動脈硬化度の指標である大腿動脈-足首間脈波伝播速度; faPWV)を測定し、ストレッチ運動が動脈硬化度に及ぼす急性的な経時変化を検証した。その結果、ストレッチ後15分後および30分後にbaPWVとfaPWVが有意に低値を示し、60分後にはストレッチ運動前の値に戻った。一方、cfPWVには変化が認められなかった。このことから、動脈硬化度に対するストレッチ運動の効果には局所性がある可能性が示唆された。そのため、現在、若年者を対象に片脚の下腿三頭筋に対してのみ他動的なストレッチ運動を行い、片脚はコントロールにした際の局所的なストレッチ運動に対する動脈硬化度の急性的な経時的変化を測定し、解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、全身に対するストレッチ運動が動脈硬化度に及ぼす経時的変化について検討し、ストレッチ運動が動脈硬化度を一過性に低下させることを明らかにした。さらに、片脚に対するストレッチ運動が動脈硬化度に及ぼす影響についても測定し、現在解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究結果から、ストレッチ運動の動脈硬化度の改善効果には局在性がある可能性が示唆されたため、今後は片脚に対するストレッチ運動が動脈硬化度の検討を実施し、さらに、その機序として動脈の血行動態に及ぼす影響についても検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、超音波画像診断装置を購入したが、それ以外の経費で使用せずに済んだ予算が発生した。そのため、次年度に予算を繰り越し、実験計画遂行のための研究費として使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に血流測定のための超音波画像診断装置を購入したため、次年度は特に高額な物品購入の予定はない。前年度の繰り越し金額を含め、実験のための消耗品、人件費および謝金、研究成果発表のための学会参加費用として使用する。
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