本研究では,空間学習・記憶能力低下を呈するラットを用いて,嫌悪刺激による空間記憶獲得後の運動がミトコンドリア生合成に関与するPGC-1αとAMPKαの発現変化,および記憶の消去を生起するかどうかを検証した。空間学習・記憶能力低下を呈するラットでは,海馬のPGC-1α,AMPKαともに低下しており,ミトコンドリア機能低下の可能性が示唆された。獲得された空間記憶の保持は走運動により低下し,記憶消去が認められた。その際,海馬背側部のPGC-1α,AMPKαともに増加し,ミトコンドリア機能亢進の可能性が示唆されたものの,記憶消去とAMPキナーゼ経路の関係についてのさらなる検討が必要である。
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