研究課題/領域番号 |
16K01899
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
寺見 陽子 神戸松蔭女子学院大学, 教育学部, 教授 (20163925)
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研究分担者 |
久津木 文 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (90581231)
伊藤 篤 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (20223133)
南 憲治 京都橘大学, 発達教育学部, 教授 (00122284)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 養育者のかかわり / 9か月時の乳児 / 共同注意 / 接触行動 / 発話 / 叙述的身振り / 質的分析 / 親の自己表現力 |
研究実績の概要 |
本研究は、今日の養育者の乳児への働きかけや関わりの質を高めるプログラムを検討するために、乳児期初期のコミュニケーションの変化について、1994-95年と2017-18年の母子の関わりを比較検討し、今日の親子の関わりの課題とかかわりの質的向上を図る観点を導出することを試みた。対象は、9か月時の乳児6人とその母親【A群:2017-18年に生まれた女児と母親3組、B群:1994-95年に生まれた男児1名・女児2名とその母親3組の計6組】。手続きは、家庭における自由遊びを30分間VTRに収録し、そのうち後半10分を分析対象とした。分析にあたっては、VTRを10秒ごとに区切り、①発声②情動表出③叙述的身振り④共同注意⑤大人の視線⑥子どもの視線⑦接触⑧指さしの生起頻度を記録した。また、VTRの逐次記録を作成し、発話数(統語的切れ目)、発話のユニットを算出した。 その結果、母から子への発声、子の快表現、母の快表現、母からの子へのモノの提示、それに対する子の反応、モノの同時注視、同時注視の前後に起こる母⇒モノ⇒子⇒母という相互的な関わり、母から子の顔や体にむける視線、子から母の顔や体に向ける視線、などの行動は、A群よりB群の方がかなり多く見られた。特に、発話に関してはB群の方が約2倍であり、発話のユニットもB群の方が多かった。一方、A群の方は、母からの接触行動、子からの接触行動が多かった。また、母親は子どもの持っているおもちゃを見る、子どもも自分の持っているおもちゃをみることが多かった。B群では反対に、母親は自分の持っているおもちゃを見る、子どもは母親の持っているおもちゃを見ることが多かった。 本研究の結果から、親子の関わりの質を高めるためには、養育者の言葉かけや親自身の自己表現力を高める必要があると推察された。
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