本研究は海洋危険生物がもつ痛み惹起物質の詳細を解明しようというもので、世界初の試みである。予備実験の結果、海洋危険生物であるハブクラゲの刺胞内に痛み惹起物質が少なくとも一つは存在することを確認できた。また、本化合物はLC-MSの結果から既知の痛み惹起物質とは一致しなかった。さらに、痛みを伴う刺傷を引き起こす多種多様な海洋危険生物群の痛み惹起物質が単一とは考えにくいため、ハブクラゲ以外の危険生物についても痛み惹起物質の詳細を順次解明していく必要がある。新規な痛み惹起物質の解明は、その化合物を起点とした新たな痛み受容体の科学への展開など発展性を有する基盤的研究である。
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