カテゴリ認知における抽象化過程の神経メカニズムについては適当な動物モデルが存在せず直接的な知見がない.本研究では3つの階層レベル(具体レベル,中間レベル,抽象レベル)を持つ,階層カテゴリ課題を作成してこの問題に取り組んだ.呈示された自然画像のカテゴリを記号を用いて明示的に答える課題について、2頭中2頭のニホンザルで学習可能であることが示された.さらに,各階層における反応潜時の解析から,サルにおいてもヒトの行動実験と同様に抽象レベルの反応潜時が中間レベルの反応潜時よりも早いという結果が得られ, ヒトとサルにおいてカテゴリ認知処理の類似性が示唆された.
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