研究課題/領域番号 |
16K01977
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内田 綾子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (20283468)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アメリカ / 先住民 / 西部 / 冷戦 |
研究実績の概要 |
本研究は、第二次世界大戦後の米国西部における土地開発と先住民部族との関係を冷戦期の枠組みの中で歴史的に検証する。とくに、東西冷戦の核競争の中で、西部の先住民保留地の内外で地下資源開発と土地利用がどのように行われ、それらが当時の先住民政策といかに関わっていたのかに注目する。その上で、1960年代以降に先住民運動と環境運動が台頭するに至った背景を西部地域の事例を通して検討する。 初年度にあたる平成28年度は、冷戦期の米国の核開発・エネルギー政策と先住民部族への影響を調べるために、関連の研究書や論文等の二次資料を入手し、読み進めた。とくに、第二次世界大戦中、原子爆弾の開発のためにワシントン州東部に設立されたハンフォード核施設の歴史について検討した。 夏期休暇中には、米国ワシントン州立大学図書館において一次史料の調査と収集を行った。第二次世界大戦後から1970年代にかけてのアメリカ原子力委員会による核開発政策に関する報告書、ハンフォード核施設に関する記録等の史料調査を行った。また、冷戦期に長らくワシントン州議員を務め、先住民政策にも関わったヘンリー・M・ジャクソンに関する史料を閲覧し、収集した。さらに、ハンフォード核施設周辺に保留地を有するヤカマ族を中心とする先住民部族に関する史料も収集した。帰国後は、関連の文献を補い、上記の資料を分析した。 以上の調査により、本研究を今後、進めていく上での課題がより明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、学内の改組への対応に追われたが、夏期に米国で多くの史料を調査・収集することができた。それらの分析には、予定よりも時間がかかっているが、今後の研究にとって貴重な資料と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に収集した史料の分析をさらに進め、米国西部における資源開発・土地利用と先住民政策との関わりに関する論文を執筆する予定である。その上で、平成29年夏期に米国で新たな史料を調査し、西部の他地域との比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に書籍を購入したところ、残額がわずかに生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に、消耗品に使用する予定である。
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