研究課題/領域番号 |
16K01977
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内田 綾子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (20283468)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アメリカ / 冷戦期 / 先住民 / 西部 / 環境 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、前年度に米国で調査し、収集した史料をもとに、第二次世界大戦後のアメリカ北西部における環境問題と先住民政策との関係についてさらに分析を行った。ワシントン州におけるハンフォード核施設やダム開発、軍産複合体の発展は、先住民部族に対する連邦管理終結政策が展開した時期と重なり、一連の環境問題を通じて、現地の先住民に多大な影響をもたらしたことが明らかとなった。この考察について研究報告を行い、論文を執筆した。 さらに、アメリカにおける他地域の事例として、1950・60年代のアメリカ南西部における地下資源開発と先住民政策との関係を検討した。まず関連の研究書を入手し、先行研究について調べた。そして夏季休暇中に渡米し、ニューメキシコ大学図書館にてアーカイヴ史料等を閲覧し、収集した。ニューメキシコ州やアリゾナ州の先住民保留地内外で行われたウラン・石炭・石油などの地下資源開発に関する史料を通じて、現地のナバホやプエブロなどの先住民に対する影響を探った。政府関係資料のほか、先住民のオーラル・ヒストリー・コレクション、各環境団体の機関誌・報告書、新聞・雑誌記事等を調査した。 帰国後は、これらの一次・二次資料の分析を進め、第二次世界大戦後のアメリカ南西部における資源開発や軍事施設の発展が当時の先住民政策とどのように関わっていたのかを考察した。次年度には、米国政府・企業の動きとともに、先住民の対応、環境運動がおこった背景についてさらに検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、前年の調査結果を発表し、論文にまとめる一方で、米国で新たな史料調査を行った。収集した史料の分析は、さらに次年度も継続したい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、平成29年度に収集したアメリカ南西部に関する史料の分析を論文等にまとめる。さらに他の西部地域についても史料を収集し、事例研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、マイクロフィルム史料の購入を計画していたが、米国で史料調査を行った後、見合わせた。次年度以降に、改めて検討する。
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