研究課題/領域番号 |
16K02312
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中原 ゆかり 愛媛大学, 法文学部, 教授 (00284381)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 太鼓 / 組太鼓 / 創作太鼓 / 地域社会 / 祭 |
研究実績の概要 |
初年度の目標は、地域社会と太鼓音楽についての調査をすすめることであった。 太鼓音楽が日本全国、海外へと広がるにつれ、それぞれのグループの地域性を強調して独自の音楽を創り上げようとする動きがある。具体的には地域の歴史や伝説、祭礼と関連した曲を創作し、あるいは地域の民謡や芸能を取り入れている。また地域の祭やイベント、観光関連施設などでは、積極的に太鼓演奏を取り入れるようになった。太鼓音楽は、それぞれの地域のものとして認識され、地域社会の活性化と関わっているのである。 平成28年は、6年に一度開催される諏訪大社の「御柱」の年であったことから、諏訪地域に対象をしぼり、御柱と太鼓音楽との関連を中心に調査をすすめた。そもそも組太鼓、創作太鼓の考案そのものが、諏訪大社の神楽の復活として始まったものでもある。御柱では諏訪大社四社でそれぞれ山出し、里曳き等の大掛かりな行事が、多数の氏子と観光客をまきこんで行われた。木落とし等の重要な場面では、必ず太鼓が演奏され、また各所に芸能を演ずる野外舞台が設けられた。太鼓演奏は諏訪地域のいくつもの太鼓グループが担当したが、打ち手には県内外や時には国外からの参加も数多く見られ、その内実はグループどうしが常日ごろ構築してきたヨコの繋がりを基盤としていた。また御柱にちなんだ新曲も、創作、披露されている。御柱という一大行事が、パフォーマンスと打ち手たちの繋がりを活性化していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで文献やビデオなどによってのみ情報を得ていた御柱祭を経験できたことは、今後の諏訪地域の太鼓音楽を観察していく上で大変有意義であった。今後一つ一つのグループを細かく調べていく計画をたてる上での指標となる点をつかむことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度におこなった、地域社会と太鼓音楽との関連について、今後も調査を進めていきたい。平成28年度には大きくつかんだ概要に基づき、これからは細かい人と人との繋がりや曲の創作方法、変化について調査を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品として楽器を購入予定であったが、残額が少なすぎて平成28年度中の予算では購入不可能となった。 そのため残額を平成29年度の予算として利用し、購入することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の残額となった24370円は、平成29年度の予算に組み込み、具体的には楽器購入等に充てる予定である。
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