研究課題/領域番号 |
16K02450
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉中 孝志 広島大学, 文学研究科, 教授 (30230775)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マーヴェル / 17世紀 / イギリス / バッキンガム公爵 / フェアファックス卿 / 庭 |
研究成果の概要 |
詩人としてのマーヴェルにとって、忠誠心や義務感は、国家的なものやイデオロギー的なものであるというよりもむしろローカルで個別のものであり、彼の立ち位置は、家族関係や、社会的、文学的な有縁性の人脈の中にある。その顕著な例として、マーヴェルは、フェアファックス卿の長老派の家庭の中で執筆しながら、終末論的錬金術のイメジャリを、距離を取った超党派的な使い方をしているという事実を引用してよかろう。また、彼の旧友である王党派、第二代バッキンガム公爵ジョージ・ヴィリヤーズと議会派の退役軍人である当時の自らの雇い主の娘、メアリーとの縁談を纏めるための積極的な責任を負っていることも明らかになった。
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自由記述の分野 |
イギリス文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今世紀最強の批評潮流といえる新歴史主義の影響を受けた英国17世紀文学研究は、政治的、イデオロギー的な観点からテクストを解釈する傾向が強かった。マーヴェル研究もその例外ではなく、詩人の政治的、宗教的立ち位置が常に問題とされてきた。本研究成果の学術的意義は、個別の人間関係や人脈を調査することで歴史の特定の地点と特定の時点において詩人が自らの敵と友との間で自己保存と自己実現を試みた具体例を発見したことである。また、極めて専門的な研究成果の副産物として、言葉を操る人間が、敵と味方との間を如何に生きてゆくべきか、言葉によってどのように人間関係をうまく生きることができるかの知見を得ることができた。
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