本研究は、トウェインの探偵小説群において、犯人像が非常にしばしば混血の息子であることを発見した。つまり、元来、トウェイン作品における人種問題のテーマは、作家の社会的・歴史的関心から生じていると考えられてきたが、本研究により、その人種問題でさえ、その根底には父と子の複雑な血縁という個人的な問題が存在していたことが明らかになったのある。この発見は、トウェイン研究をさらに作家のトラウマ研究へと向かわせる端緒となるであろう。また、一般の読者にとっても、社会問題よりも作家の個人的体験が文学を生み出すことを再認識させるものとなるはずである。
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