日仏文化交流史の研究の一環として、本研究では両次大戦間期のフランスにおける日本文学受容を取り上げ、同時代のジャポニザン(日本学研究者)の活動を検討した。特にアルフレッド・スムラーとルネ・モーブランに着目し、前者が日本近代文学(火野葦平の作品等)の、後者が日本の伝統的詩歌(俳句等)の受容に重要な役割を果たしたことを明らかにした。その際、彼らの仕事とフランスの文学的潮流との接点を探ることを重視した。主な成果としては、フランスにおける俳句の普及と「モダンな古典主義」の関係を解明した拙論「白い羊と俳句-フランスにおける日本文学受容の一側面」(『信州大学人文科学論集』第五号)等がある。
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