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本研究は、20世紀中国の主要な視覚メディアである連環画（絵物語）を取り上げ、人々のイメージの生成と伝播、受容の様相を明らかにせんとするものである。連環画は、内容は多岐に渡り、数量も膨大であり、なにより今まで研究対象として扱われることがあまりなかったメディアであるため、その整理と保存が危急の課題と言えるものである。
平成30年度の研究成果は、昨年同様、以下の三点に集約される。それらは「１、研究会の開催」「２、連環画の整理に関する作業」「３、学術研究誌『連環画研究』の編集と刊行」である。
研究会は9月に開催され、招聘したゲストスピーカーを含めた研究者たちの間で、当該分野に関する活発な意見交換が実現した。連環画の整理に関しては、前年度に引き続き、1950年代から80年代頃までの低年齢層向けの連環画（絵本を含む）を中心に作業を進めた。
学術研究誌『連環画研究』には、多種多様な論考が寄せられた。例えば、ベルギーの作家エルジェの漫画作品の連環画版について整理し、その中国表象を取りあげたものや、伝統的な芸術形式の一つである剪紙（切り紙）を用いた連環画作品を扱うもの、アマチュアの描き手たちによる連環画の雑誌投稿のさまについて仔細に記したものや、内モンゴルで起こった事実がどのように物語化されて、広く普及していったかを整理分析するものなどがある。これらの成果は、いずれも新中国における視覚文化の興味深い様相を明らかにするものと言える。
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