本研究は、明治三年に福井藩のお雇い外国人として来日した、アメリカ人ウィリアム・E・グリフィス(William Elliot Griffis, 1843-1928)の日本に関する著述を分析し、その日本観を根底で支える宗教観の形成についての考察を行ったものである。 明治期以降に来日した英米人のなかで、主にラフカディオ・ハーンと対照させることで、一見正反対の立場をとった二人の日本体験の再評価を試み、19世紀から20世紀にかけての、西欧の対日観の原点と変遷を“宗教”をキーワードにして示しつつ、そこからみえてくるさまざまな問題に光をあてて考察を行った。
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