本研究は、3年間にわたり母語話者の協力と多くの助言を得ながら、日本手話における等位構造の統語・意味特性を調べ、体系的に記述した。日本語の「と」「か」に相当する等位接続詞の種類とその分布、接続詞がつなぐ等位句の同時表出の可能性、「AとB(どちらか)」のように使用される等位接続の一般用法と日本語・アメリカ手話の一般用法との言語間の違い、そして、これまでの手話言語研究では報告されていない日本手話のもつ「内向き」タイプの「手のリスト」List Buoy、及び等位接続文の等位構造制約に関して調査を進めた。得られた記述からは、ジェスチャーと言語の違いなど人間言語に関する有意義な貢献を得ることができた。
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