本研究は,朝鮮半島でかつて行われていた漢文訓読に対し,それぞれの資料間の関係を考察し,読法がどのように系統付けられるかを考察した点で意義があるものである。特に,より巨視的な観点から見た場合,少なくとも2つのやや異なる漢文訓読の系統が存在していたという点を論じたことは,もっぱら本研究代表者の独創的な観点である。 一方,漢文訓読が東アジア漢字文化圏に広く存在したものであるだけに,その1つのあり方を朝鮮語の例を以って示し得た点で,広く国際的な観点からの漢文訓読研究にも一助を与え得ると言うことができよう。
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