研究課題/領域番号 |
16K02706
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
柿原 武史 関西学院大学, 商学部, 教授 (10454927)
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研究分担者 |
仲 潔 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00441618)
安達 直樹 摂南大学, 外国語学部, 講師 (70749465)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 文化外交 / 言語対外普及 / 言語政策 / 外国語教育 / 少数言語 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究の第1の目的である国家の言語文化の対外普及活動の具体的な施策について明らかにするために、東京及びマニラにおける現地調査を実施した。4月30日に第1回目の研究打合せを行い、研究計画と役割分担について確認した。その結果、アジアにおけるセルバンテス文化センターの活動を調査するためには、最大規模のセンターである東京での事前調査が有用であると考え、9月6日に聞き取り調査を実施した。これによりアジア諸国におけるセルバンテス文化センターの設立経緯や各センターの活動について最新の情報を収集した。 次に、スペインによる植民地であった歴史を有し、その繋がりの深さから、アジアで最初にセルバンテス文化センターが設立されたフィリピンにおける現地調査を行った。具体的には2017年3月にマニラのセルバンテス文化センター、アテネオ・デ・マニラ大学現代言語部、フィリピン大学ヨーロッパ言語部において聞き取り調査および資料収集を実施した。セルバンテス文化センター・マニラでは、スペイン大使館附属スペイン文化センターから改組されて1994年に同センターが誕生した経緯や、近年の同センターにおけるスペイン語及び公用語である地域言語の教育活動について聞き取り調査を実施した。また、アテネオ・デ・マニラ大学およびフィリピン大学では、スペイン語教育の実施実態について教育現場の観察及び関係者に対する聞き取り調査を実施した。これにより、マニラを中心とするフィリピンでのスペイン語教育の実態を明らかにするための基礎的情報が収集できた。当初は欧州でも現地調査を行う予定であったが、初年度はアジア、特にフィリピンに絞って研究を進めることとした。 現地調査と並行して言語の対外普及に欠かせない規範整備の歴史や、言語教育と異文化理解などの理論に関する文献調査も進めた。これらの調査の成果の一部をまとめ口頭研究報告及び論文執筆を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者及び研究分担者の所属が変更となり、新しい環境で研究基盤を整える必要があり、現地調査の実施計画を変更せざるをえなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施できなかった欧州における現地調査を行い、さらに当初予定していた米州地域での現地調査も可能な限り実施する。その際、初年度のアジアにおける調査ではあまりクローズアップできなかった、国内少数言語であるスペインの併用公用語の教育活動や普及活動についても実態調査を行う。 これらにより、第1の目的である「世界各地で実施されている対外言語普及政策の具体的な施策について明らかにすること」に加え、第2の目的である「国家語普及機関が国内少数言語を普及することの意義と問題点を解明すること」についても研究を進めていく予定である。そのためには、少数言語の対外普及活動、教育活動が実施されている欧州及びに米州地域おけるセルバンテス文化センターでの現地調査を行う必要がある。また、少数言語対外普及政策の実施主体であるスペインの関係機関(ガリシア自治政府など)での現地調査も必要に応じて実施していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の実施地域を変更(欧州とアジアからアジア<東京とフィリピン>に変更)したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年次において、現地調査を追加で行うことで使用する予定である。
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