研究課題/領域番号 |
16K02799
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宇佐美 洋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40293245)
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研究分担者 |
文野 峯子 人間環境大学, その他部局等, 名誉教授 (10310608)
岡本 能里子 東京国際大学, 国際関係学部, 教授 (20275811)
森本 郁代 関西学院大学, 法学部, 教授 (40434881)
柳田 直美 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 准教授 (60635291)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ワークショップ / 態度変容 / 価値観の問い直し / 他者への共感 / 二人称的アプローチ / ネガティブ・ケイパビリティ |
研究実績の概要 |
本研究は,出席者が活動に主体的に参加するプロセスを通じて学ぶという「ワークショップ的手法」を取り入れた研修・授業を実際に実施し,その研修・授業の出席者・実施者にインタビューを行うことにより,この種の研修・授業の中で起こっている各人の心理的プロセスを明らかにするとともに,この種の研修・授業にどのような意義があり得るか,また同種の研修・授業を設計・実施していくに当たり,運営者にはどのような配慮が求められるか,などについて知見を得ていくことを目的としている。 前年度(2017年度)には「フォーラム・シアター(FT)」と呼ばれる手法に基づく演劇ワークショップを実施し,複数の参加者及びファシリテーターに対するインタビューを行った。本年度(2018年度)は,FTにおいて強い葛藤を感じていた一部の参加者に対し,ワークショップを終えてさらに時間をおいてからの振り返りインタビューを追加実施し,その葛藤について自分の中で折り合いをつけていくプロセスを分析した。同時に,前年度収集した複数の参加者・ファシリテーターに対するインタビューの結果に対し,研究分担者が個別に分析を加えた。 さらに,それぞれの分析に対し統合的に解釈を加えることにより,以下の知見を得た:①FTには,「他人ごと」でなく「自分ごと」として状況を引き受ける(「三人称的アプローチ」からの脱却)ことを可能にし,かつ「ネガティブ・ケイパビリティ」(性急に証明や理由を求めずに,不確実さや不思議さ,懐疑の中にいることができる能力)を涵養し得る力がある,②ただしその際,「自分の価値観」だけに基づいて状況を見る(一人称的アプローチ)のでなく,「眼の前にいる人の価値観への共感」をもって状況を見る(二人称的アプローチ)ことが大切であり,運営者には参加者にそうしたアプローチを促すような配慮が求められる。
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