研究課題/領域番号 |
16K02831
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
森本 郁代 関西学院大学, 法学部, 教授 (40434881)
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研究分担者 |
宇佐美 洋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40293245)
柳田 直美 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 准教授 (60635291)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 対話能力 / 異文化間コミュニケーション / 話し合い / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、対話の一形態である「話し合い」の進め方と評価の観点に関する多文化間の比較研究を行い、異なる文化や価値観を持つ人々の間の相互理解と協働を達成するために必要な、文化を超えた対話能力を育成するプログラムの試案を作成することである。平成30年度は、平成29年度に引き続き、平成28年度に収録した日本人学生、韓国人留学生、中国人留学生を参加者とした、1)それぞれの母語による話し合い、2)各言語のグループから一人ずつ参加する多文化間参加者による日本語での話し合い、3)2)とは異なるメンバーによる多文化間の話し合いのデータと、話し合い終了後の参加者に対するインタビューデータの分析を行った。その結果、以下の3点が明らかになった。1点目は、多文化間では日本人学生が主導権を握りがちになるが、それは必ずしも日本語能力の問題ではなく、テーマに関する知識の有無が影響しているということである。このことは、テーマが参加者の発言や参加度に影響を与えることを示唆する。2点目は、参加者は自分たちの文化の違いに敏感で、「異文化」であることを資源の一つとして話し合いを進めているという点である。その一方で、3点目として、彼らは自他を「日本人/韓国人/中国人」と明示的にカテゴリー化することに対しては慎重であることもまた明らかになった。このことから、お互いの意見や考え方が自他の文化と直接結びついてステレオタイプ化しないようにすることを参加者が指向していると考えられる。また、話し合い後のインタビューを対象に、話し合いの参加者自身が話し合いをどのように評価しているかを分析し、話し合いへ「参加すること」が満足度に深くかかわっていることを見出した。平成30年度の後半は、これらの知見を踏まえて、多文化の学生が参加する科目で話し合いの授業を実践し、プログラムの試案作成に有益な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
授業での試行実践に基づきプログラムを完成させる予定であったが、大学のカリキュラムの関係で予定していた前期に授業実践が行えず、後期に実施したため、得られた知見をプログラムに反映させるだけの十分な時間が取れなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き平成28年度に収録したデータと29年度に収録した台湾のデータの比較分析を行うとともに、平成30年度の授業実践から得られた知見を整理してプログラムを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者や研究協力者との日程調整が難しく、対面で行う予定であった研究会や打ち合わせを遠隔で行ったため、その分旅費が予定よりも少なく済んだ。次年度使用額は平成30年度後期に実施した授業実践から得た知見の整理と成果物の作成に使用する予定である。
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