過去の第二言語動機づけ研究では、学習者の学習意欲を高める要因の探索とその実践方法についての研究が行われてきたものの、学習活動を継続するメカニズムが明らかになっていなかった。そのため、本研究ではその心理的メカニズムを調査するための尺度開発とそれを用いた実証研究を行うことを研究課題とした。具体的には、退屈な課題や困難な状況にあっても、目標に向けて努力する力である「やり抜く力(Grit)」と、一時的に魅力的な誘惑や娯楽があっても、目標に向かって自分の衝動的感情や行動をコントロールする力である「自己コントロール力(Self-control)」といった二つの要因に焦点を絞って研究を行うことを目的とした。 昨年度までに、本研究の予備調査と本調査のデータ収集が完了し、また研究成果の一部を学術論文にして公表してきた。また、教員免許更新講習等でも、研究成果の一部を紹介してきた。今年度は、これまでに収集した質的・量的データのさらなる分析を行い、国際学会(イギリスとオーストラリア)にて発表を行った。さらに、その発表の一部を基に、英語論文の執筆も行った。一連の本研究のまとめとして、やり抜く力と自己コントロール力の強い学習者は弱い学習者と比べて、授業外での英語学習時間が多く英語力も高いことが明らかとなった。最後に、本研究のまとめとして、やり抜く力と自己コントロールを高める方法も含めて、研究成果報告書の執筆を行った。
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