研究課題/領域番号 |
16K03000
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
進藤 修一 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (80294172)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ギムナジウム / 中等教育 / 中央ヨーロッパ / 学校システム |
研究実績の概要 |
19世紀中央ヨーロッパの学校システム構築の前提となる、学生の地域移動・社会間移動をあきらかにするために、ドイツに加え、ハプスブルク帝国の中等学校(特にボヘミア、モラヴィア、ズデーテン地方)について、それぞれの学校記録や学校史(創立記念で発行される、主に19世紀に出版されたもの)を渉猟し、かなりの規模のデータを調査・精査することができた。 また、特にドイツにおける伝統校(16・17世紀に当時の封建諸侯が設立したもの)については、近代に至るまで学生定員内に奨学生の枠が設定されており、学生の地域間・社会間移動(とエリートの養成)という本研究の根幹をなす観点に、奨学制度が与えた意義を検討する必要が生じた。そのためこの点について、まず建学時の人材養成についての目的、および奨学制度の設置の目的、さらには奨学制度の発展と19世紀での変容にかんするあらたな調査・検討が必要となり、本年度はH30年度の研究成果の本格発表を重視することとし、本研究の方向性に微調整を加えることとなった。これに関連してまずはベルリンとザクセンの中等学校(特に16/17世紀に選帝侯によって設立された学校群)における奨学制度の調査を要し、ベルリンのギムナジウム(特に選帝侯により設立されたヨアヒムスタールギムナジウム)を中心にデータを収集・精査した。これにより、中等学校の地域別、種類別特色があきらかになり、今後の研究の基盤を再構築することができた。 ドイツの中等学校史研究とは異なり、ハプスブルク帝国の中等学校史研究はそれほど研究成果があるわけではない。そのなかで、最新の研究を参照しつつ、資料の収集に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中等学校を通じての社会移動と、それを前提とした進学先の選別、それを可能にする国家を超えた中等学校のネットワークの存在をあきらかにすべく、これまで研究を進めてきた。だが、特にドイツにおける伝統校(封建諸侯が設立したもの)については、奨学生の枠があり、奨学制度についてあらたに調査が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツの中等学校はベルリンの有力ギムナジウム6校(フランスギムナジウム、グラウアークロースターギムナジウム、フリードリヒスヴェルダーギムナジウム、ヨアヒムスタールギムナジウム、フリードリヒ・ヴィルヘルム・ギムナジウム、ケルンギムナジウム)およびザクセンのギムナジウム(プフォルタ、グリマ、マイセン)を中心に考察を進める。ハプスブルク帝国にある中等学校については学校記録の調査・精査をすすめつつ、二次文献などもとりまぜながら精査を進める
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