研究課題/領域番号 |
16K03006
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
東山 京子 中京大学, 社会科学研究所, 研究員 (80570077)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 台湾総督府 / 専売局 / アーカイブズ学 / 史料学 / 専売局文書 / 企業文書 / 日本統治史 |
研究実績の概要 |
日本の近代公文書の全貌が判る貴重な史料のなかで、最も纏まった形で現存している台湾総督府文書は、現在、台湾中部南投市の国史館台湾文献館(以下、「台湾文献館」という)が所蔵している。この台湾総督府文書のなかで、本府たる総督府および地方行政機関における文書構造については、これまでの研究により明らかにしてきた。しかし、台湾総督府の付属機関である専売局の文書構造についてはいまだ解明されていない。 この専売局とは、準国営企業的な機関であったことから、この文書構造を分析することにより、日本統治期台湾における総督府の運営を支えてきた専売局がどのような企業であったのか、近代における企業文書とはどのようなものであったのかを解明することができよう。 そこで、今年度は、台湾文献館が所蔵している専売局文書のデジタルデータから簿冊目次を丹念に収集することとし、資料収集を行ってきた。これらの作業を進めることにより、本府たる総督府文書においては、一つの簿冊に対しては一つの簿冊目録が作成されて綴られていたが、専売局文書は、一つの簿冊に対して、一つの目録のものもあれば、いくつかに分けられて目録が作成されており、関連文書に付されて綴られていたことから、本府とは編綴方法が異なっていたことがわかった。これは、専売局が付属機関であること、特に企業体組織であることに関係すると考えられる。つまり、企業文書は行政文書とは業務内容が異なり、それらの業務内容により分類された門類別が多種多様であると考えられることから、さらに文書内容を含めて分析し、文書構造を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、台湾総督府専売局文書を所蔵している台湾南投市の台湾文献館において、同館が提供する専売局文書のデジタルデータから簿冊目次等の収集を行った。このほかに、同館の研究員の協力を得て、台湾の末端の地方行政機関である台中市内の区公所(町および村の役場)において、日本統治時代の文書が現存することが判明したことから、これらの文書を写真撮影により収集した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査方法と同様に、台湾文献館が所蔵している専売局文書のデジタルデータから簿冊目次を丹念に収集し、本府とは編綴方法の異なる企業体組織である専売局の文書構造を明らかにしていく。また、昨年度に引き続き末端の行政単位である区公所が所蔵する日本統治期の文書の収集も行い、さらに、台湾に現存する日本統治期の文書および資料を探索し、収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
印刷代および郵送として約10万円を予定していたが、今回は主に写真撮影にて資料を収集したため。
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次年度使用額の使用計画 |
残額は次年度の現地調査において予定している資料収集のための費用に繰り越すこととした。
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