研究課題/領域番号 |
16K03164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小泉 龍人 東京大学, 東洋文化研究所, 特任研究員 (80257237)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 実験考古学 / 土器焼成技術 / 元素分析 / 鉱物組成分析 / 焼成温度 / 彩文顔料 / 都市形成期 |
研究成果の概要 |
北メソポタミアの都市形成期の彩文土器断面を分析して、顔料部の方が胎部よりも鉄とマンガンの成分の割合が高い傾向を得た。土器を950~1000℃で焼成したところ珪灰石が同定され、彩文土器は900~950℃で焼成されたと推考した。復元粘土を酸化・還元焼成したところ赤褐色・灰白色になり、赤鉄鉱の生成が発色の違いに現れたと推定した。復元顔料の酸化・還元焼成により、顔料中のマンガン成分の比率が高いと黒味を帯びる傾向がわかり、彩文の色調は顔料成分に起因すると推定した。北シリアの土器の予備的分析により、胎部と顔料部で北メソポタミアとの差が認められた。トルコで半地下式の昇焔式土器焼成窯を燃焼室上端まで構築した。
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自由記述の分野 |
西アジア考古学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、メソポタミア都市文明の形成過程における土器の焼成技術について、理化学的分析と実験を通して多角的に考察できた。とくに、復元粘土および復元顔料を活用することにより、実際の土器の色調や、顔料の色調などを検証できた成果は大きい。また、北シリアの土器も比較分析することで、都市文明の形成過程における地域差の一端を捉えることもできた。さらに、実際に現地(トルコ)で彩文土器の復元焼成実験に挑戦すること自体、画期的な試みとなる。これらの成果は、土や火という身近な視点から人びとの暮らしを解明する上で、広く社会において古代への好奇心をよりかき立てることにつながると予想される。
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