本研究は,指定野菜産地の消長から産地のレジリエンスとその地域的条件の究明を試みた。全指定産地の平均存続年数は28.6年,現存産地のそれは37.9年を数え,長い産地では55年を超えていた。露地野菜産地では産地存続率の低い作目ほど,現存産地の寿命は長く,大規模産地に特化していた。施設園芸野菜作産地は概して存続年数・存続率ともに長く,高かった。その持続性は,①産地の銘柄性,②担い手の存在,③高品質生産と高い技術力,④販売ルートの確立と消費者へのPR,⑤地域的機能組織の存在を条件とし,とりわけ新技術の普及のように地域内で新たな試みを受容し発展させる仕組みが産地のレジリエンスを高めていた。
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