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2016 年度 実施状況報告書

かくれキリシタンの近代における変化と文化遺産化に関する民俗学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03225
研究機関長崎大学

研究代表者

才津 祐美子  長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (40412613)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードかくれキリシタン / 潜伏キリシタン / 文化遺産 / 世界遺産
研究実績の概要

本研究の第一の目的は、かくれキリシタンの近代以降の変化について明らかにすることである。従来の研究では、かくれキリシタンは主に禁教令下の潜伏キリシタンの残存として扱われており、近代における変化にはほとんど焦点が当てられてこなかったからである。また、戦後から現在にかけては、かくれキリシタンの数の減少とともに、秘蔵していたものを博物館等に寄贈したり、博物館や劇場で観客を前に「オラショ」(祈祷文)を唱えたりする動きも見られる。さらに、現在進んでいる「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(2016年9月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に名称変更)の世界遺産化の流れの中で、かくれキリシタンは実質的に関連遺産として扱われている。こうしたいわば「かくれキリシタン習俗の文化遺産化」の実態を明らかにすることが本研究の第二の目的である。
以上のような研究目的のもと、平成28年度には以下の調査を行った。1.禁教令撤廃後のかくれキリシタンの歴史的変遷と現状について、長崎市外海地区において現地調査を行った。2.文化遺産化が進む平戸市生月島において現地調査を行った。3.「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」/「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録に向けた長崎県内各種団体の取り組みと、それらがかくれキリシタンに与える影響について調査(文献資料調査および聞き取り調査)を行った。4.地域文化の文化遺産化や世界遺産化に関する日本および世界の動向を調べるため、また、1、2で行った現地調査を補完するための文献資料調査を行った。
さらに、本研究の成果として「『長崎の教会群』世界遺産推薦取り下げから見えてくるもの」(葉柳和則編著『長崎-記憶の風景とその表彰』晃洋書房、2017年所収)を執筆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現地調査、文献資料調査とも、ほぼ当初の研究計画通りに進んでいる。本研究の実施直前に「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産推薦取り下げ(2016年2月)という事態が生じたが、2016年7月に行われた文化審議会において再び世界遺産候補として推薦されることとなり、2017年2月には正式な推薦書がUNESCOに提出された。この間構成資産の見直しと名称変更があり、世界遺産登録予定が2年延びたものの、本研究の遂行上大きな問題はないものと思われる。

今後の研究の推進方策

平成29年度以降の研究計画・方法は以下の通りである。
1.平成28年度に続いて平成29、30年度においても長崎市外海地区と平戸市生月島において現地調査を行う。2.「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」世界遺産登録前後の長崎県内のさまざまな取り組みとその影響について、長崎県庁をはじめとする地方公共団体や観光関連団体の動向を調査・分析するとともに、長崎市外海地区と平戸市においても聞き取り調査を行う。3.1、2の調査を補完する文献資料調査を行う。
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、ICOMOSの指摘を受けて、教会群中心の資産から潜伏キリシタン関連遺産中心のものへ変更され、名称も「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」になった。また、マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙」が公開された(2017年1月日本公開)ことで、以前にも増して潜伏キリシタンへの注目が集まっている。それはかくれキリシタンへの関心につながることが予想されるため、2の調査を遂行するにあたって、その点に特に注意して取り組みたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 長崎-記憶の風景とその表彰2017

    • 著者名/発表者名
      才津祐美子、葉柳和則、桜井厚、木村至聖、阪野祐介、四條知恵、冨永佐登美、新木武志、平野健一郎、上島智史
    • 総ページ数
      325(291-319)
    • 出版者
      晃洋書房

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公開日: 2018-01-16  

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