「危機とリスクをめぐる国際法/国際政治の法思想史」を主題とする本研究の問題関心、および対象に向かう視座を、法思想史概説書(中山竜一・浅野有紀・松島裕一・近藤圭介著『法思想史』有斐閣、2019年12月刊行)に反映させることができた。また、リスク社会論の可能性について再考する、嶋津格教授・橋本努教授への応答論文「「リスク社会と法」の認識論史から」(『法の理論 38』2020年4月刊行)を公表した。 しかし、2020年2月以降、新型コロナウィルスの世界的蔓延に直面し、戦争や自然災害を中心におきながら考察を進めてきた本研究計画には、感染症爆発に固有の問題視角が決定的に欠けていたことを痛感する結果となった。また、本年度より所属大学の法学研究科長を拝命することとなったため、研究に時間を割くことできず、充分な研究成果をあげることができなかったことも悔やまれる。
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