国際法と国際政治学は、戦争等の「危機」管理の試みとして発展してきた。だが今日では、気候変動、化学物質、パンデミックなど、グローバル化する「新たなリスク」への対応も求められる。本研究では、危機管理とリスク対応の構造変化を思想史的アプローチにより解明しようとした。M・コスケニエミの国際法史研究を導きの糸に、国際政治学の創始者H・モーゲンソーの歴史的意義を再考、現代の国際法理論と対比して検討を進めたが、道半ばである。研究成果の一部として、東アジア法哲学シンポジウム招待講演「グローバルなリスク社会と法の支配」(2018)、日本法哲学会ワークショップ「グローバルな正義論における他者」(2019)がある。
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