研究期間の最終年度にあたり、これまでの研究成果を取りまとめるための活動を行なった。具体的には、次年度中に公刊予定の研究論文集『團藤文庫を利用した研究の可能性(仮)』に各共同研究者等が掲載する論文につき、その構想を討議・検討する活動を行った。台風接近に伴う研究会の中止があったために、全体の研究会開催は3回しか実施できなかったが、最後の研究会においては全日を使って集中的な報告を行い、各自の論文構想の共有化、具体化に一定の成果を上げることができた。 貴重資料のデジタル化作業については、構築された装置を用いて、パイロット的に実施することができた。すなわち、龍谷大学矯正・保護総合センターのホームページ内に「團藤文庫研究プロジェクト」のサイトを設け、そこにさらに「アーカイブズ」の小サイトを作り、デジタル化された所蔵資料をアップロードをすることができた。そこには、團藤文庫所蔵の一群の「蒙古聯合自治政府に関する資料」(1939年ころのもの)をデジタル化資料として公開し、利用に供しているところである。また、同じようにして團藤死刑廃止論に関する教材も、同じく「團藤文庫研究プロジェクト」のサイトにある「教育・地域社会への還元について」の小サイトに、アップロードしてある。このようにして、本研究成果の社会への還元につき、まだ十分とは言えないものの、一般の利用に供する試みを具体化することができた。 團藤文庫に関する展示会は、膨大な文庫の整理が進展せず、残念ながら研究期間中に実施することができなかった。次年度に開催することにしたい。また、同様な理由から、文庫の利用を広く研究者に供する体制を作り上げるには至らなかった。今後は、新たな研究資金を得て、團藤日記の翻刻に取りかかることにしたい。
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