国際法上の義務に国家が「違反」すれば、それを是正するよう求めることは当然である。もちろん、「是正」のさせ方は多様であり、裁判や経済制裁等の強制力のある方法を取ることに限らず、遵守確保のための能力向上を支援するという方策もありうる。 しかし、直ちには義務の「違反」とはならないような形で、しかしその義務の目的や効果を無にするような行為としての「迂回」がなされた場合、それに対してどのように、どこまで対応すべきかは自明ではない。本研究は、このような微妙な問題について、分析の足がかりを提供する意義がある。
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