治罪法と旧々刑事訴訟法での再審制度は、再審開始事由を限定していたが、利益再審しか認めていなかった。旧刑事訴訟法での再審制度は再審開始事由について包括的規定を設けたが、不利益再審を導入した。現行刑事訴訟法での再審制度は憲法39条を踏まえて不利益再審を廃止したが、再審開始事由の包括的規定を含めた旧刑事訴訟法の規定のほとんどをそのまま踏襲した。現行刑事訴訟法においても旧刑事訴訟法の不利益再審の影響が根強く残っているため、再審は開かずの門であり続けた。1975年の最高裁白鳥決定以降、再審で無罪判決が下される事例が増えてきたものの、その影響は、今日の再審制度をめぐる諸論点の議論に及び続けている。
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