本研究では、民事訴訟、仲裁、家事審判等、中立的な第三者の判断により民事紛争を解決する手続において、各手続における審判対象と裁判の拘束力との関係をどう理解するかを検討した。公権的強制的紛争解決手段である民事訴訟における審判対象と既判力との関係(民事訴訟法114条)をめぐる議論を出発点とし、比較法的視点からこの規律を再検討する余地があること、また、他の紛争解決制度における「確定判決と同一の効力」の解釈に関するわが国における議論の展開を踏まえ、判断の拘束力の内容や範囲を確定判決の既判力と同一のものと捉えるのではなく、それぞれの制度に期待される紛争解決単位という視点から決定すべきであることを示した。
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