本年度は、2016年8月にミュンヘン(ドイツ)のマックスプランク研究所に滞在して、多数の資料を収集することはもちろん、現地の専門家に面会して、本研究課題に関するまとまった調査・研究を遂行することができた。特に、ドイツ著作権法の権威であるAdolf Dietz教授に再会して議論できたことは有益であった。また、EPO審判官であるChristopher Heath博士とは3回にわたり面会して、ドイツ法を含むヨーロッパの状況および日本法との比較について詳しい議論ができた。このような過程を通じて、ドイツにおける興味深い事例と最新の裁判例について調査することができたのみならず、その背景にある社会的な事情について考察することができた。こうした外国法研究は、やはり現地に滞在して、社会的な状況を肌身に感じることを通してこそ実現できるものと改めて実感した次第である。 また、本年度は、ドイツ出張以外にも、シンガポール、ローマ、ソウル、ミュンヘンにおいて講演を行う機会を与えられた。その多くは先方から招待され、本科研費を使用していないことも多いが、そうした機会においても、Silke von Levinski、Reto Hilty、Ansgar Ohly、Matthias Leistner、Jane Ginsburg、Shyam Balganeshなど多数の著名な研究者と議論する機会があり、その過程で本研究課題に関する研究を進めることができた。こうした成果は、これからさらに本研究課題の研究を進めていく過程における多面的な発展を可能にするものと思料する次第である。
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