研究課題/領域番号 |
16K03462
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋渡 展洋 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (10228851)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地域協力 / 貿易協定 / WTO交渉 / 政治体制 / 経済改革 / 先進諸国 / 民主政 / 権威主義体制 |
研究実績の概要 |
今年度は (1)プロジェクトの完成に向けて、英文の単行本の企画書(book prospectus)を完成させた。成果本のタイトルはNegotiating Economic Reforms Beyond Boarders:Electoral Accountability and Open-economic Regional Cooperation で、現在の構想では、7章からなり、貿易協定の統計記述、問題意識と分析枠組み、先進諸国の「深い」貿易協定推進の国内政治、政治体制と「深い」貿易協定参加の関係、「深い」貿易協定の2層ゲーム分析、貿易協定と地域協力、結論という構成を決めた。この作業を通して成果物の構成、意義、主張が明確になった。 (2)貿易協定の締結を規定する「2国間の関係」の要因として、2国間の経済援助、経済政策、WTOでの貿易紛争、援助と軍事協力、武器取引をダイアード分析が可能なデータセットとして整理した。このダイアード分析をもって計量分析の部分が完成する。各国別の貿易協定参加の規定要因に関するパネル分析は昨年度にすでに一応、完成を見ている。 (3)中南米、東欧・旧ソ連。東南アジアでの政治的民主化、あるいはその欠落・逆行が、経済改革や貿易協定にどのような影響を与えたか、その「政治体制要因」をめぐる仮説をより説得的にさせるため、特に政治体制変動と経済政策選択について、近年目真ざましい研究成果が出ている、中南米諸国に関する(大学出版会発行の)専門学術書を網羅的に検討した。 (4)1990年代以降、日本を含めた各国の(WTOの場を含めた)貿易協定をめぐる動きに関する膨大な資料の収集、整理、解読を行った。資料は新聞記事を中心に政策関係の2次資料、政府や国際機関、国際会議の声明などからなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)成果本の全体のテーマ、構成、各章の内容、長所などを本の企画書としてまとめた。 (2)計量部分の2本の柱のうちの、2本目の柱である貿易協定のダイアード分析についてデータセットを完成させた。 (3)先行研究については特に、研究が多い中南米諸国に関するものを渉猟し、ほぼ読み終わった。 (4)事例分析に必要な資料の大部分を収集して、日本に関してはほぼ読み終わった。 。
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今後の研究の推進方策 |
(1)計量分析を完成させる。特にダイアード分析を完成させ、併せて既に終了しているパネル分析の結果を点検する。 (2)事例に関する資料収集に遺漏がないか確認する。資料の整理を経て、できるだけ読み進める。 (3)残る先行研究、特にWTOやIMFの動向がそれぞれの国・政治体制の国内経済改革と対外経済戦略にどのような影響を与えるかを検討し終える。 (4)企画書に従って、各章を書き始める。
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